Facebook広告では綿密なターゲティングや細かな予算設定、広告セットの調整も逐次行えるため、PDCAサイクルを回せます。獲得数を伸ばすための最適化機能も備わっており、あまり人手をかけない運用も可能です。本記事では、Facebook広告の獲得数を伸ばす最適化機能や改善方法を詳しく解説します。
Facebook広告で獲得数を伸ばす最適化手段
まず、Facebook広告で獲得数を伸ばす手段について2つのポイントを紹介します。
アカウントの設定を調整する
広告といえば発信するメッセージやクリエイティブに目が行きがちですが、アカウントの設定を最適化することは獲得数を伸ばすために重要です。Facebook広告のアカウント構造は「キャンペーン」「広告セット」「広告」という3つの階層から成り立っています。「キャンペーン」で設定した広告の目的と、その下層にある「広告セット」や「広告」で設定する項目の内容は整合性をとる必要があります。
予算や商材、配信対象ユーザーといった「広告概要」や予算設定、そして蓄積されたデータなどを参考にしてアカウントの設定を調整しましょう。
最適化機能を利用する
Facebookには広告パフォーマンスを伸ばすための最適化機能が備わっています。広告の獲得数増加には、この機能の活用が効果的です。たとえば、出稿中の広告が表示される度にユーザーの反応を分析し、どのようなユーザーにどのようなタイミングで表示されると効果が高いかを徐々に学習します。これにより、表示回数が増えると同時に、広告を表示するユーザーのセグメントや傾向、効果的なシーンにおける表示が最適化されます。
この機能の代表的な種類のひとつが「コンバージョン最適化」です。名前の通りコンバージョン数を伸ばすための設定ですが、これによりコンバージョンを獲得しやすいユーザーに対して広告を配信できます。配信対象となるユーザーは広告主が設定する「ターゲット層」のなかから選定されます。この機能を活用するには[広告配信の最適化対象]で[コンバージョン]を選択します。
「コンバージョン」とは、広告主が目標とする、利益につながる閲覧者のアクションのことです。商品やサービスを提供いている場合、一般的にコンバージョンに該当するのは、その商品やサービスの「購入」です。Facebook広告ではECサイトでのカートへの商品追加など、購入手前のアクションもコンバージョンとして設定できます。
Facebook広告で獲得数を伸ばすための改善方法【取材後追記】
デジタルチェンジでは1か月あたりコンバージョン10件程度を目標とする案件をいただくことが多いです。自動車案件、ラグジュアリーブランドなど、コンバージョンが獲得しにくい場合には、ライトコンバージョン(問い合わせのボタンだけ押した人など)を設けることもあります。コンバージョンが少ない場合には、ライトコンバージョンに合わせて広告を最適化します。
獲得数を伸ばすために、1件でも獲得が出たタイミングで、そのコンバージョンがどういう属性なのかを確認し、注力できないか検討します。具体的には、Googleアナリティクスを使用して広告経由でコンバージョンに至ったユーザーを調べ、その属性に注力してみたり、マイクロコンバージョンを設定し、有効なターゲットに注力したりするなどの方法を用います。
Googleアナリティクスでの分析サービスはオプションですが、ホームページを分析してLP(ランディングページ:最初にアクセスされたページ)を特定し、そこに広告を表示ことはコンバージョンを獲得するのに有効です。
キャンペーン(広告セット)構成の調整
まず、キャンペーンを構成する要素である「広告セットの設定」を調整することが大事です。広告を考えるうえで欠かせない「ターゲット」は広告セットの単位で設定しますが、必要以上に細分化したターゲティングを行うとパフォーマンスが悪化します。これは、過度な細分化によって機械学習が妨げられるためです。
最適化機能における機械学習は広告セット単位で行われます。ターゲティングをはじめ、キャンペーン構成を見直し、精度の高いデータを収集することが最適化への近道といえます。
適切な予算の設定
予算設定も大きく影響します。基本としては、予算の設定が目標とする成果に対して適切な設定になっているかを確認します。高すぎる設定だと獲得効率が悪化し、低すぎると目標とする成果に届きません。
予算設定をするうえでは、獲得数のほかに獲得単価や期間といった要素も関係します。商品による部分も大きいですが、過去のデータなどからコンバージョン獲得にかかる単価を把握しておきましょう。また、目標達成にかかる期間が適切かどうかを確認する必要もあります。
Facebookは、予算設定に影響する獲得数の目安を「7日以内の広告セット最適化イベント50件」と出しています。これは機械学習に必要なデータ量としての目安でもあります。この基準に沿って1日あたりの予算や獲得数を設計するとよいでしょう。
予算が足りていない場合は「無駄な広告費を抑制する」という考えを持つことが重要になります。
ターゲットオーディエンスの見直し
ターゲットは一度決めたら終わりではありません。また、設定したターゲットとFacebook広告上で設定するオーディエンスに乖離があれば、思うような成果につながらないでしょう。どんなに良い広告やクリエイティブでも、訴求する相手が適切でなければ思うような成果につながりません。
広告で設定するオーディエンスが適切に設定されているか、必要に応じて見直し・変更する必要があります。ターゲットを運用しながら適正化することが大切ですが、注意点もあります。Facebookでは非常に綿密なターゲット設定ができるからこそ、必要以上に絞り込んでいる場合もあります。対象が少なすぎると十分な数のリーチを獲得できないので、条件の絞り込みを減らすなどの調整が必要です。
既存顧客と類似する特徴を持ったターゲットを抽出しやすいのがFacebook広告の魅力ですが、必要以上にターゲットを狭めないように注意しましょう。
広告の調整
ターゲットや予算だけでなく、広告自体の最適化も欠かせません。マス広告と違い、短いサイクルで調整できるのがデジタル広告の特徴です。Facebook広告も最初に設定したものが最適解とは限りません。パフォーマンスを確認しながら一定期間運用したら調整を検討しましょう。
チェックする際の観点としては、広告フォーマットやクリエイティブがあります。ユーザーが抱えている課題や広告を目にするシーンをイメージしながら、ユーザーの目に留まるクリエイティブが必要です。テキストが多すぎないように調整するなど、ユーザー視点に立って検証します。また、Facebook広告のルールとしてテキストの領域が多すぎると出稿できない場合があるので注意が必要です。
場合によっては同じ趣旨の広告を複数パターン運用し、効果を比較しながらより成果につながる広告にブラッシュアップするのもよいでしょう。
成果の出るクリエイティブにするため、1枚の広告画像ではなくカルーセル(複数の画像が横スクロールでスライド表示されるもの)を用意して訴求するのもよいでしょう。ただし、複数訴求するのではなく、訴求したいポイントを絞ることが重要です。
デジタルチェンジでは、マンション販売のカルーセル広告を、外観の写真から内装の写真に変更することで、広いリビングに憧れるユーザーの気持ちを掴み、リード獲得につなげた実績があります。
FacebookやInstagramはフォトジェニックなので、目に留まる、アイキャッチになるような画像を入れると効果的です。BtoB案件では男性よりも女性の写真の方が、反応が多いこともあります。動画の広告では、音声を聞く人が少ないので、画像だけで内容が伝わるような広告がよいです。
GoogleでもFacebook広告でもそうですが、テキストはあまり入れないほうが、成果が出やすいことが分かっています。テキストは広告全体の20%にとどめるのがセオリーです。Facebook広告の運用を考えている方は上記のポイントを参考にしていただければと思います。
目的に合った最適化機能の設定
冒頭でも触れたように、Facebook広告には様々な最適化機能があります。広告を出稿する目的によって必要となる最適化機能が異なるため、既存の設定を改めて確認し、必要に応じて調整しながらパフォーマンス改善につなげましょう。
Facebook広告はほぼリアルタイムで広告内容やターゲット、予算などの設定を調整でき、小さくPDCAサイクルを回せるのが大きなメリットでもありますが、それがマイナスに働くこともあります。機能を効果的に活用するには、一定量の情報収集が必要です。頻繁に広告設定を編集してしまうとFacebook側の情報収集に影響が出て機能がうまく回らない可能性もあります。情報収集に関するステータスは管理画面で表示されるので、特に「情報収集中」の場合は多少パフォーマンスが悪くても設定を変更しないようにしましょう。
Facebook広告で獲得数を伸ばすためには、アカウントの調整や最適化機能の利用があります。それ以外にもこれまでに挙げた具体例を参考に、改善を試みましょう。
まとめ
Facebook広告の成果を伸ばすためには、まずアカウント設定と広告設定に一貫性が出るように調整する必要があります。そのうえで、コンバージョンを始めとした最適化機能を活用することで、広告の効果を高められます。
運用する際は、必要以上にターゲットを細分化しないことです。Facebook広告の最適化機能を活用するには、一定量のデータと機械学習が欠かせません。ターゲットを細分化し過ぎたり、設定を変更し過ぎたりすると必要なデータ量が蓄積されません。
広告の目的やターゲット、予算を適切に設定しながら、一定期間は設定を変更せずに最適化機能を有効活用しましょう。