Webで広告を出稿したいと思ったとき、まずリスティング広告とディスプレイ広告が候補となります。それだけ有名な広告ですが、初めて利用する方や、Webマーケティングのことをあまり知らないという方にとっては、両者は何が違うのか分かりづらいかもしれません。今回はそんな2つの広告の違いや、使い分けなどについて解説します。
リスティング広告(検索連動型広告)とは何か
リスティング広告とは、検索エンジンでキーワードが検索されたとき結果に表示される広告のことで、検索連動型広告やSEM広告とも呼ばれます。日本では、GoogleやYahoo!がリスティング広告を提供する代表的な検索エンジンです。通常の検索結果(サイトへのリンク)と近い形式で表示されるので、Web広告になじみのない方は勘違いするかもしれませんが、リスティング広告のリンクには「広告」と出てくるので、そこで見分けることが可能です。
リスティング広告の大きな特徴のひとつが、PPC(Pay Per Click、クリック課金)と呼ばれる課金の仕組みです。広告主は、広告がユーザーによってクリックされたときに広告費を支払います。また、広告枠は入札形式(オークション形式)なので、広告費は一定ではなく、クリックごとに上下します。成果が出ないのに広告費を払うリスクを抑えることができ、また予算に応じて入札額をコントロールできるのがメリットです。
リスティング広告の一番の強みは、能動的に検索をしているユーザーに対して広告でアプローチすることが可能となります。広告掲載も入稿を行い2営業日以内で掲載開始ができる即効性があり、ターゲティングも狙った検索ワードのみでの広告掲載となるのでCVR(コンバージョン率)が他のWEB広告に比べると高くなります。キーワードによっては10円程度のクリック単価で始められるものもありますが、人気のあるキーワードの場合は1,000円を超えるものもあります。
ディスプレイ広告(コンテンツ連動型広告)とは何か
ディスプレイ広告とは、サイトやモバイルアプリなどに表示される広告のことで、コンテンツ連動型広告とも呼ばれます。例えば、サイトを見ているときに、周囲のコンテンツに紛れて商品やサービスのPRが入っていることがありますが、それがディスプレイ広告の一形態です。広告はそれぞれのサイトやモバイルアプリ上に表示されますが、出稿にあたってはGoogleやYahoo!など、大規模なネットワークを持っている媒体(メディア)のサービスを通じておこないます。
ディスプレイ広告にも、リスティング広告と同じくクリック単位で課金される仕組みがありますが、それに加えて、一定の広告表示(インプレッション)数単位で課金される仕組みもあります。どちらの仕組みにするか選ぶときなどには、クリック単位の課金はCPC(Cost Per Click)課金、一定の広告表示数単位の課金はCPM(Cost Per Mille)とも呼ばれます。
ディスプレイ広告では、毎回ユーザーのニーズに応じた広告が出るとは限らないため、予測できない「不意打ち広告」的な側面を備えています。そのため、すぐにコンバージョンを得ることはあまり期待できません。一方で、普段そんなに検索しないが、見ると購買意欲を喚起するような商材(車や高級旅行など)をPRするのには向いています。加えて、1度の広告接触だけではなく、ターゲットユーザーに対して複数回の接触を行うことで商品に対しての認知を高める事も期待できます。また、ディスプレイ広告には「リターゲティング」という、一度サイトを訪問するなどしてニーズが分かっているユーザーに広告を出す手法もよく使われます。
「リスティング広告」と「ディスプレイ広告」の違いは?
リスティング広告とディスプレイ広告は、同じ媒体のサービスで利用できたり、同様の課金方法があったりと、共通点が多くあるデジタル広告ですが、異なる点もあります。以下、知っておくべき違いを3点ご紹介します。
広告の掲載場所
まず大きな違いが広告の掲載場所です。すでに述べましたが、リスティング広告は検索エンジンの検索結果に、ディスプレイ広告はサイトやモバイルアプリなどに表示されるといった違いがあります。
また、リスティング広告は広告掲載に順位があります。検索結果の最上部に表示されるのが1位の広告で、それから2位、3位と下がっていきます。この順位は、広告枠の入札単価のほか、広告やランディングページの品質などの要素によって決定されます。競合と上位の取り合いをするため、状況を見ながら適宜調整が必要な広告です。
一方ディスプレイ広告は、「プレースメント」という広告の掲載サイトが重要な要素です。
掲載サイトは無数にあり、ものよっては成果につながらない場合もあります。予算との兼ね合いなどを考慮して、不要なプレースメントは除外するなど、調整をしながら運用します。プレースメントを除外する際のポイントとしては、自社製品及びサービスの価値を落とすようなサイトを中心に除外するようにしましょう。安価に誘導出来ていたりしても逆にブランド価値を落としてしまう結果になる可能性があります。大手企業などでは、配信先プレースメントを絞ったホワイトリストと呼ばれるものを使用してディスプレイ広告の配信をおこなっていたりします。
広告の掲載形式
広告の掲載形式も、2つの広告では異なる部分です。まずリスティング広告は、テキスト形式の広告です。広告は見出し、説明文、URLなどで構成されます。文字がメインになるため、上手くキーワードを含めたり、訴求力の高い表現を使ったりして、広告を作成します。また自分が出している広告と競合が出している広告が並ぶことになるので、競合が出している広告に埋もれないように内容の差別化を図ることもポイントといえます。
一方ディスプレイ広告には、静止画(バナー)形式やアニメーション形式、テキストを加えた形式など、複数の掲載形式が用意されています。また、広告の大きさも複数のパターンがあります。ビジュアルがメインの広告なので、テキストで長々と説明するというより、素材の写真や画像、またその見せ方を工夫することで、ユーザーへの訴求を図ります。
このように説明すると、リスティング広告よりも、掲載形式が豊富なディスプレイ広告の方が魅力的に感じるかもしれません。しかし、ユーザーの検索ニーズに合った広告を出す「デマンド型」のリスティング広告と違い、いきなり広告を見せ、潜在的なニーズを喚起したり、認知度を上げたりする「不意打ち広告」としての機能・効果を持っているのがディスプレイ広告です。用途が異なるので、それぞれケースに応じて使い分けをすることが推奨されます。
ターゲット層の違い
ターゲット層の広さという点では、リスティング広告よりもディスプレイ広告の方が広くなりがちです。それは、リスティング広告はキーワードありきなので、ディスプレイ広告よりも絞り込みが細かくなりやすいためです。ただし、すでにサイトを訪れたユーザーに広告を出す「リターゲティング」など、設定方法によってはディスプレイ広告でも絞り込みが可能です。
リスティング広告とディスプレイ広告の使い分け〜顧客獲得にはどっちがおすすめ?〜
これまで解説してきたように、リスティング広告とディスプレイ広告にはそれぞれ独自の特徴があるので、どちらが有用なのかは一概にいえません。広告を出稿する理由や、達成したい目標などにより、2つの広告を上手く使い分けるのが理想です。
ひとつの例として、自社のサービスを知ってもらい、顧客獲得を増やすために広告を出すケースについて考えてみます。この場合、おすすめなのはリスティング広告です。理由は、サービスへの関心がみられるキーワードを入札することで、よりニーズが顕在化したユーザーに対して広告を表示できるからです。ディスプレイ広告はリスティング広告と比べ、どうしてもニーズがない・顕在化していないユーザーに広告を表示してしまう可能性が高くなりがちなので、顧客獲得まで時間や広告費がかかりやすいといえます。
とはいえ、ブランディングや認知度を向上させ、間接的に購入や申し込みなどのコンバージョンにつなげるのであれば、ディスプレイ広告も有効な手段です。もし広告費の予算が大きいのであれば、短期間に一定の興味関心があるターゲットに訴求できるのも、ディスプレイ広告の強みです。ユニークなバナー画像などが作れるとサイトへの呼び込みがより効率的におこなうことが可能です。
まとめ
今回は、リスティング広告とディスプレイ広告の違いについて解説しました。ケースに応じた使い分けが推奨されますが、広告費に余裕があれば併用してテストし、効果によってどちらかに注力したり、投下予算の配分を変えたりして運用していくのも、ひとつの方法です。広告費に余裕がない場合は、リスティング広告からスタートさせて一定のパフォーマンスを出すことができれば、ディスプレイ広告を後から追加していくことをオススメしています。